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KNOWLEDGE OF SKIN CARE
VOL.
81
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肌のバリア機能を高めたい!回復させるスキンケアとおすすめ化粧水

健康で美しい肌とは、外的環境から肌を守るバリア機能が整った肌状態のことです。

肌のバリア機能を守る方法やスキンケア方法を知っておくと、肌トラブルを回避しやすくなるため、より美肌を目指せます。

また「肌のバリア機能を高めたい」「肌のバリア機能の回復させたい」という人のために、バリア機能と美肌の関係についてくわしく解説していきます。

最初に、肌のバリア機能にはどのような働きがあるか見ていきましょう。

肌のバリア機能と働きについて

肌のバリア機能の詳しい解説図

外的環境からの刺激や異物を防ぐ働きを持つのが、肌のバリア機能です。また、肌内部の水分蒸発を防ぎうるおいを保つ役割も果たしています。

バリア機能は、乾燥や紫外線、刺激や細菌などの外的刺激から肌を守ってくれる、肌には必要不可欠なものです。

肌バリアを構成する3つの機能

バリア機能を構成する3つの要素

バリア機能は自ら肌を守るために、もともと肌が持っている機能です。

肌バリアを構成している3つの機能が合わさり、外的環境や乾燥から肌を守り、すこやかな肌を保ちます。

肌本来が持つ3つの機能には「皮脂膜」「天然保湿因子」「細胞間脂質」があります。

まずはこの3つの機能について解説します。

①皮脂と汗で構成された「皮脂膜」

顔の毛穴からは、汗と皮脂が分泌されており、肌表面に皮脂膜を作っています。この皮脂膜は、天然のクリームと言われており、紫外線や雑菌から肌を守り水分の蒸発を防いでくれています。

洗顔後に時間が経つと、何もつけていなくてもじんわりうるおいが出てくるのが皮脂膜です。

②水分を保つ「天然保湿因子」

天然保湿因子は、肌に備わっているうるおい成分のことでNMFとも言われています。
水分をつかみ、抱え込む働きがあり、肌の水分量を保ちます。

天然保湿因子の主な成分はアミノ酸で、PCA(ピロリドンカルボン酸)や乳酸ナトリウム、尿素などの保湿成分が集合したものです。

③うるおいを保つ「細胞間脂質」

角層細胞が並んだすきまを埋めているのが、細胞間脂質です。細胞間脂質は、セラミドが主成分で、異物の混入や摩擦の刺激を防ぎ、うるおいを保つ効果があります。

セラミドは、スフィンゴ脂質という種類の脂質で、細胞間脂質の多くがセラミドでできています。

セラミドはスキンケアに配合されるうるおい成分ですが、肌がもともと持っている成分でもあるのです。

肌のバリア機能が低下する3の原因

肌のバリア機能が低下する3の原因

肌のバリア機能が正常に働いている間は、肌トラブルが起きにくくすこやかな肌を保つことができます。
しかし、バリア機能が低下すると肌荒れや敏感肌に傾きやすく、あらゆる肌トラブルを引き起こす原因になります。

バリア機能が低下する原因を知っておくと予防や対策ができるため、肌荒れや乾燥が気になる人はぜひ読んでくださいね。

肌の乾燥やうるおい不足

肌の乾燥やスキンケアでのうるおい不足は、肌バリアを構成する3つの機能のバランスが崩れて、バリア機能そのものが低下してしまいます。

「すべての肌トラブルは乾燥から起る」といわれるのは、バリア機能が低下してしまうからです。

過度な洗顔や摩擦によるもの

過度な洗顔や摩擦をおこなうと、肌表面にある皮脂膜が剥がれ、角質層がカサカサになってしまいます。いわゆる乾燥肌や敏感肌のことで、あらゆる外的刺激を受けやすくなるため注意が必要です。

紫外線の影響

すこやかな肌は紫外線の影響が受けにくいとはいえ、紫外線対策をおこなわずに30分以上日差しを浴びると、表皮だけでなく真皮にもダメージを与えてしまいます。

肌の土台がゆらぎ、角質層表面も乾燥しやすくなります。

肌のバリア機能が低下しやすい時期にも注意

バリア機能が低下しやすい時期とは

肌のバリア機能はいつも一定ではなく、低下しやすい時期があります。「このタイミングで肌が荒れる」「肌が敏感になる」と、知っておくとある程度の対策が可能です。

プロゲステロン(黄体ホルモン)が増加する月経前

女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。

2つのホルモンは月経周期により分泌量が増減し、月経周期は「月経機→卵胞期→排卵期→月経前」というサイクルを繰り返しています。

排卵前にはエストロゲンが増加し、排卵後から月経前まではプロゲステロンが増加します。

プロゲステロンが増加する月経前には、皮脂量が増え脂っぽくなることからニキビや肌荒れにつながりやすくなります。
参考資料:SMART LIFE PROJECT

通常よりもバリア機能が低下しやすいため、この時期のスキンケアは、攻めの成分はお休みして守りのケアをするのがおすすめです。

季節の変わり目

日本には四季があり、季節により気温や湿度が変化します。
特に季節の変わり目には、気温や湿度の変化に肌が追いつかず、バリア機能が低下しやすくなります。

近年は、春や秋が短くなる傾向にあり、昨日32℃あった気温が今日は22℃だったり、1日の気温の変化も大きくなったりしています。
2023年は夏が長く、10月に入り一気に気温が低下したため、肌のコンディションを崩してしまった人もいるのではないでしょうか。

特に春と秋は気温の変化が大きい時期なので、注意が必要です。

50歳前後の更年期

40代以降になると、閉経に向け徐々にエストロゲンが低下し始めます。
エストロゲンは、肌にうるおいやハリを与える美肌ホルモンとも呼ばれています。

閉経を迎える50歳前後には、エストロゲンが急激に減少し、肌が乾燥をしてうるおいとハリを失い始めます。

更年期は、肌のうるおい不足によりバリア機能が低下しやすい時期になります。

肌のバリア機能をセルフチェック

肌のバリア機能をセルフチェック

「なんとなく肌の調子が悪い」「カサカサしている」というときは、バリア機能が低下しているかもしれません。
下記に該当するかセルフチェックしてみましょう。

  • 肌が乾燥している
  • 肌が粉を吹いている
  • 化粧水がしみる
  • 肌がヒリヒリする
  • 部分的に赤みがある
  • かゆみがある
  • ファンデーションが浮く、綺麗にフィットしない

粉を拭く、化粧水がしみる、肌がヒリヒリする、などはバリア機能低下の典型的な症状です。

肌のバリア機能を高めたい!スキンケアで回復を目指す

肌のバリア機能をセルフチェック

「バリア機能が高い肌=外的刺激を受けにくい肌」になります。「バリア機能を高めたい」「スキンケアで肌を回復したい」という人は、以下の4つの項目をぜひ実践してみてください。

肌摩擦を避けたスキンケアをおこなう

肌は摩擦に非常に弱く、洗顔やスキンケア時に摩擦をすると、バリア機能が低下してしまいます。

特に注意したいのがコットンの使用です。

拭き取り洗顔や拭き取りクレンジング、化粧水の塗布にコットンを使用していると、肌の摩擦回数が非常に多くなり、角質層が剥がれ薄くなりやすいです。

スキンケアはなるべく手でつけるのがおすすめですが、どうしてもコットンを使用したい場合は、ケチらずにたっぷりと浸して使用しましょう。

うるおいを保つクレンジングと洗顔

泡洗顔する女性

スキンケアの中でも、落とすケアによりバリア機能を低下させてしまうことが多々あります。
洗浄力の高い洗顔料やクレンジングの使用や、過度な洗顔により角質層が剥がれてしまい、バリア機能が働かなくなることも。

マイルドな洗浄成分の洗顔料や、保湿成分配合のクレンジングを使用し、肌のうるおいを保持しながら汚れを落とすことが大切です。

アミノ酸配合や泡で出るタイプの洗顔料は、肌のうるおいを保ち摩擦の刺激が少ないためおすすめです。

乾燥させない保湿ケア

クリームを顔に塗る女性

バリア機能をサポートするには、肌にうるおいを与える乾燥させない保湿ケアがとても重要です。
子供の肌は何もつけなくてもうるおっていますが、大人の肌はそうはいきません。

なるべく肌本来が持つうるおい成分を取り入れながら、化粧水を使ったら乳液やクリームで水分が逃げないようにエモリエントケアをしましょう。

UV対策をおこなう

紫外線を跳ね返す

紫外線は肌を乾燥させるだけでなく、肌の表皮から真皮まで影響を与えます。肌の土台にダメージを与えるため、UV対策は必須です。

特に顔は1年中出ている場所なので、季節に問わずUVケアをすることをおすすめします。

通常の日常生活であれば、SPF20~30程度あれば十分カバーできるため、スキンケアの仕上げとして使用しましょう。

バリア機能をサポートするおすすめ成分

バリア機能をサポートするおすすめ成分

すこやかな肌を保つためには、バリア機能が正常であることが必要です。うるおいを保持し、バリア機能をサポートするおすすめの成分を紹介します。

【セラミド】うるおいをキープし肌を守る

セラミドはヒトの肌が元々持っている成分で、肌バリア構成には欠かせない成分です。

化粧品に配合されるセラミドには「ヒト型」「動物型」「植物型」「類似型」の4種類があります。

この中で、特にバリア機能サポートにおすすめなのが「ヒト型セラミド」。ヒト型セラミドは、ヒトの肌にあるセラミドの構造に合わせて作られた成分で肌なじみがよく、うるおいをキープして肌を守ります。

ヒト型セラミドは「セラミド+アルファベット(セラミドEOP)」または「セラミド+数字(セラミド1)」などで表示されます。

【ヒアルロン酸】うるおいヴェールで水分量を保つ

ヒアルロン酸は水分を抱え込む性質を持つ、とろみのある成分でスキンケア化粧品やヘアケア製品以外に、目薬、関節の炎症暖和剤などにも用いられています。

ヒアルロン酸は分子が大きく、肌の表面にうるおいのヴェールを作り水分を保つ働きがあります。

スキンケアに使われているヒアルロン酸は数種類あり

  • ヒアルロン酸Na:高分子のため、肌表面にとどまりうるおいをキープ
  • アセチルヒアルロン酸Na:ヒアルロン酸Naに親和性をプラスし、なじみをよくしたもの
  • 加水分解ヒアルロン酸:ヒアルロン酸をオリゴ糖サイズまで小さく分解したもの。角層への浸透が高い。

参考資料:美容成分大全(P69ヒアルロン酸類)/岡部美代治(監修)/ナツメ社

【コラーゲン】水分蒸発を防ぐ保湿成分

高分子であるコラーゲンは、肌の表面に保護膜を作り水分蒸発を防ぐ保湿成分です。
化粧品に配合されるコラーゲンは数種類あり

  • 加水分解コラーゲン:分子を小さくし、角質層への浸透を高めたもの
  • アテロコラーゲン:コラーゲンの構造を一部変えて、肌なじみをよくしたもの
  • 水溶性コラーゲン:水溶性部分のみ取り出し、低温で溶解し浸透力を高めたもの

【アミノ酸】皮膚に欠かせないうるおい成分

角質層内にある天然保湿因子(NMF)の約40%は、アミノ酸でできています。アミノ酸は人体に約20種類あり、皮膚には欠かせないうるおい成分です。

体内で合成されない「必須アミノ酸」と体内で合成される「非必須アミノ酸」に分類されます。

アミノ酸は、セリン、グリシン、アラニン、グルタミン、パリン、ロイシンなどがあり、肌にうるおいを与える保湿成分です。

肌バリアの回復におすすめの栄養素

肌バリアの回復におすすめの栄養素

肌バリアの回復を目指すなら、スキンケアだけでなく食べ物からもアプローチするのがおすすめです。
ここからは、肌バリアの回復に期待できる栄養素についてお伝えしていきます。

ビタミンA

ビタミンAは油溶性ビタミンで、皮膚や粘膜を健康に保つ効果があります。ターンオーバーの正常化やうるおいケアにも期待できる栄養素です。

化粧品ではビタミンAはレチノールと呼ばれており、一般化粧品はもちろん美容医療でも処方されている美肌成分になります。

ビタミンAを多く含む食べ物

人参、ほうれん草、かぼちゃ、うなぎ、レバー など

ビタミンB群

ビタミンB群は美肌には欠かせない栄養素で、特に重要なのがビタミンB2とビタミンB6です。
肌荒れや炎症をサポートし、すこやかな肌に導く栄養素です。

ビタミンB群を多く含む食べ物

  • ビタミンB2:海苔、ブロッコリー、ひじき、レバー、うなぎ など
  • ビタミンB6:マグロ、かつお、鶏ささみ、鶏胸肉 など

ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用を持ち、皮膚のコラーゲン合成する栄養素です。 水に溶けやすく、加熱すると壊れやすいため、生で摂取できる果物や野菜がおすすめ。

ビタミンCを多く含む食べ物

キウイ、いちご、みかん、パプリカ、トマト など

ビタミンE

ビタミンEは肌のバリア機能をサポートし、血行を促進する効果がある栄養素です。また優れた抗酸化作用を持ち、活性酸素を除去します。

ビタミンEを多く含む食べ物

アーモンド、モロヘイヤ、かぼちゃ、ほうれん草 など

オメガ3系脂肪酸

オメガ3系脂肪酸は、細胞膜やセラミドの生成をサポートする栄養素。内側からバリア機能を整え、うるおいのある肌に導きます。

美容や美肌だけでなく、医療分野や健康面でも注目されています。

オメガ3系脂肪酸を多く含む食べ物

サケ、マグロ、マス、牡蛎、カニ、アマニオイル、エゴマ油 など
参考資料:厚生労働省

亜鉛

亜鉛は、細胞の修復をサポートする働きや、肌のバリア機能を整える効果のある栄養素です。
また、ミネラルが多く含まれ、肌の乾燥を助ける効果にも注目されています。

亜鉛を多く含む食べ物

牡蛎、レバー、牛肉、卵 など

肌のバリア機能を整える生活習慣

肌のバリア機能を整える生活習慣

肌のバリア機能を回復させたり、整えたりするためには生活習慣にも気をつける必要があります。
疲れや睡眠不足が蓄積すると、肌のバリア機能も崩れやすくなってしまいます。質の良い睡眠や運動習慣が、バリア機能のサポート効果に期待されています。

質の良い睡眠をとる

睡眠する女性

睡眠はどれだけ眠るかという時間も大切ですが、睡眠の質にもこだわりたいものです。

睡眠にはサイクルがあり、夢を見る「レム睡眠」と脳を休める「ノンレム睡眠」が約90分のリズムで変動していきます。

睡眠は体温との関係が深く、体の内部の温度を下げるために手足の温度を上げ、熱を逃がし睡眠へと導きます。
部屋の温度が暑かったり寒かったりすると、スムーズな入眠ができにくいため快適な温度設定にしておくことが重要です。

体内時計ホルモンであるメラトニンが入眠を促しますが、明るい光を浴びると分泌が低下してしまいます。スマホやテレビなどを見たり、電灯をつけたりすると睡眠の妨げになるため、暗い部屋で眠ることで睡眠の質を向上させてくれます。

参考資料:厚生労働省 e-ヘルスネット

質の良い睡眠は、成長ホルモンを分泌させ、肌のターンオーバーやバリア機能を回復させることに期待できます。

有酸素運動や筋トレ

腕立て伏せをする女性

ウォーキングやヨガなどの運動習慣は、血行を促進させ発汗を促し、肌の代謝をサポートすることは広く知られています。

立命館大学スポーツ健康科学部の研究チームが、ポーラ化成工業株式会社と共同でおこなった研究結果が、2023年7月に発表されました。

40~50代の女性を、有酸素運動と筋力トレの2グループに分け、データを採取し検証。両方のトレーニングが皮膚の弾力構造の改善されることがわかりました。

特に筋トレは、真皮の厚みを増加させ、若々しい外見に貢献する可能性があることが報告されています。
肌の土台である真皮の弾力性が改善されることで、バリア機能が低下しにくくなると考えられます。

参考資料:立命館大学

運動は生活の中で無理なく取り入れられるものがおすすめです。例えば、通勤途中で一駅早く降りて歩く、ビルをエレベーターでなく階段を使う、1日1分プランクをする、などできるところから始めてみましょう。

バリア機能を回復するおすすめセラミド化粧水&乳液・クリーム

スキンケアを基本に生活習慣も改善

バリア機能をサポートするためには、肌を乾燥させない保湿ケアをしっかりおこなうことが大切です。セラミドやアミノ酸、ヒアルロン酸など、ヒトの肌が元々持つ成分に着目してみてくださいね。
生活習慣の改善も視野に入れて、内外のケアをおこなうのがバリア機能の維持には効果的です♪

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