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今化粧品に使われる保湿成分といえば、なんといってもヒアルロン酸ではないでしょうか。グリセリンも定番ですが、ヒアルロン酸はさまざまな進化を遂げ、いくつもの誘導体が存在します。
ここではその保湿の王様ヒアルロン酸の進化した成分をまとめてご紹介します。
ヒアルロン酸は人の肌、真皮にも存在し、水分を保持することでみずみずしいハリのある肌を保っています。水分保持の主役ともいえる成分なのですが、以前はニワトリのトサカなどからわずかしか得られず、大変高価な成分でした。
それが微生物を用いる発酵法によって安価にバイオヒアルロン酸を製造できるようになりました。それから強力な保湿剤として広く化粧品にも採用されるようになったのです。
今では、ヒアルロン酸を細かくし浸透をよくさせたものや、皮膚や髪に吸着し潤いを保つヒアルロン酸などさまざまなヒアルロン酸が登場しています。
さまざまなヒアルロン酸の元となる基本のヒアルロン酸です。その保湿力は、ヒアルロン酸1gで約6リットルもの水を保持できるといわれています。
乾燥から肌を守って、キメの整ったハリのある肌へと導く成分です。
ヒアルロン酸にアセチル基と呼ばれる疎水性の構造を結合させた成分です。ヒアルロン酸の保湿力にアセチル基によって肌や髪になじみやすくなりました。「スーパーヒアルロン酸」とも呼ばれることがあります。
通常のヒアルロン酸は分子量が大きく(50万~200万)、肌の表面で潤いのベールを作るイメージでした。それをさまざまな方法で細かくし、浸透性を持たせたのが加水分解ヒアルロン酸です。角質層の深部まで浸透するといわれています。
平均分子量1万以下の低分子ヒアルロン酸で、ヒアロオリゴ、浸透型ヒアルロン酸やナノ化ヒアルロン酸などと呼び方も複数あります。通常のヒアルロン酸の2倍の保湿効果があるともいわれています。
先ほどの加水分解ヒアルロン酸にNaがついた低分子ヒアルロン酸です。この成分名でのヒアルロン酸は、目尻のシワやほうれい線などの気になる世代のエイジングケア用ヒアルロン酸となっています。
日本のキューピーをはじめ、海外の原料メーカーも開発しており、同じ「加水分解ヒアルロン酸Na」でも成分としては別物といえる数種類があるようです。
ヒアルロン酸の進化もいよいよという感じで、エイジングケア化粧品や美白化粧品にメイン成分として配合される日も遠くないようです。
製造メーカーでは修復型ヒアルロン酸 ヒアロリペア、と表現しているヒアルロン酸です。平均分子量1万以下、親水性の低分子ヒアルロン酸ナトリウムの一部に、疎水基を付け、親油性を持たせたヒアルロン酸です。保湿力を持つヒアルロン酸に、バリア機能にアプローチする機能を付与しました。
参考・引用:キューピー
ヒアルロン酸Naにカルボキシル基を結合させた成分で、保湿力が格段にアップしています。
別名「ヒアロキャッチ」と呼ばれ、これまでのヒアルロン酸よりも網目中の隙間が増え、より多くの水を取り込めます。しっとりするのにベタつかない使用感です。
ヒアルロン酸にジメチルシラノールというケイ素系化合物をくっつけたもので、皮膚へのなじみ性のアップと、保湿効果を高めたヒアルロン酸です。
粘性が低く、肌へスーッと浸透するような使用感で、ハリを与えてくれます。肌の中の水分をキープし、外からの刺激、ストレスなどからのケア効果もあります。
ヒアルロン酸から作られる通称3Dヒアルロン酸と呼ばれる次世代の超高分子ヒアルロン酸です。皮膚表面に均一な保護膜を形成し、皮膚のバリアを補強、うるおいを長時間保ち、紫外線やほこりなどの外的刺激から肌を守ります。
従来のヒアルロン酸の一部をカチオン化(プラスに荷電させること)し、ヒアルロン酸の保湿力と、洗っても流れ落ちない吸着力を両立した、新しいヒアルロン酸です。皮膚や髪はマイナスに帯電しているため、プラス(カチオン化)に荷電させることで吸着し、肌や髪に持続的なうるおいベールを作ります。
「吸着型ヒアルロン酸」や「カチオン化ヒアルロン酸」などとも言われ、この吸着する性質がとくに発揮されるのが洗い流すコンディショナーやトリートメントへの配合です。流した後も肌や髪にとどまり、潤いを持続させます。
乳酸菌により発酵させたヒアルロン酸です。最新と呼べるヒアルロン酸で、ロート製薬が2020年に開発に成功し、発表されました。
従来のヒアルロン酸にはなかった、肌のバリア機能を向上させ、肌の潤いを保つ効果があります。乾燥などによる肌荒れを防ぎ、すこやかに整えてくれます。
9つの進化したヒアルロン酸をご紹介しました。これだけあると、どのヒアルロン酸が一番良いのか、分からないですね。角質層内部から潤したい時は低分子ヒアルロン酸を、肌表面を守りたい場合は高分子ヒアルロン酸が適しているでしょう。