- #お肌の知識
美しい肌を保つためには、睡眠は欠かせないもの。 しかし、睡眠時間は同じなのに、肌の調子に違いがあると感じたことはありませんか?
この記事では、肌と睡眠の関係についての疑問を解決します。
夜更かしと肌荒れには一体どんな関係があるのでしょうか? まずは「10時に寝ると肌に良い」といわれるのは本当なのか、見てみましょう。
肌のためには「ゴールデンタイム」に眠ると良い、という話を耳にしたことはありませんか?
ここでは「10時に寝ると肌に良い」という疑問について解説します。
肌のゴールデンタイムとは、肌ダメージを回復させる成長ホルモンが、一日のうちで最も盛んに分泌される時間帯のことをいいます。
昔から、夜22時~深夜2時の間がこのゴールデンタイムであると考えられてきました。
この時間帯にぐっすりと深く眠ることが、肌のターンオーバーを促すために理想的だとされていたのです。
「10時に寝ると肌に良い」といわれるのは、このゴールデンタイムの話が基になっています。
ところが最近では、別の説が有力になってきました。
成長ホルモンが分泌されやすいのは特定の時間帯ではなく、入眠してからの最初の3時間ほどであることがわかってきたのです。
私たちは浅い眠りのレム睡眠と、深い眠りのノンレム睡眠を繰り返し徐々に目覚めていきますが、成長ホルモンの分泌はノンレム睡眠の時に多く促されます。
入眠後の3時間ほどは、最も深いノンレム睡眠がまとまって現れる時間帯で、現在ではこの3時間を「肌のゴールデンタイム」と呼んでいます。
次は、「夜更かししても肌荒れしない人」という疑問について、解説します。
この疑問を解決するためには、「成長ホルモン」の分泌が大切なポイントです。
成長ホルモンとは、脳下垂体という部位から分泌される、体の成長や代謝に関わる働きをするホルモンのこと。
成長ホルモンは、骨や筋肉などの発達を促すため、子供にとっては大切な役割をしています。
しかし、成長ホルモンが必要なのは子供だけではありません。
成長ホルモンには体の発達だけでなく、代謝を促進させたり、肌のダメージを回復させたりする効果もあります。
そのため、大人の美容や健康にとっても、とても大切な役割を果たしているのです。
成長ホルモンの分泌に影響があるものとして、主に下記の三つがあります。
睡眠には二つの種類があり、浅い睡眠を「レム睡眠」、深い睡眠を「ノンレム睡眠」といいます。
睡眠中は二つの睡眠を繰り返していますが、成長ホルモンの分泌は、ノンレム睡眠の時に多く促されます。
【出典】ノンレム睡眠 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
運動をすると、筋肉の疲労を軽減させるために「乳酸」が作られます。この乳酸が脳下垂体を刺激し、成長ホルモンの分泌を促します。
空腹を感じると「グレリン」というホルモンが分泌されます。このグレリンが脳下垂体を刺激し、成長ホルモンの分泌を促します。
この三つの中でも特に、成長ホルモンは睡眠中の分泌が多いとされています。
成長ホルモンは、肌の代謝やダメージ回復には必要不可欠であると解説しました。
そして、成長ホルモンが最も活発に分泌される肌のゴールデンタイムは、現在では入眠後の3時間をいいます。
成長ホルモンの分泌でいえば、大切なのは眠る時間帯ではなく、この入眠後の3時間にいかに質の高い睡眠を取ることができるかです。
「夜更かしをしても肌荒れしない人」は、肌のゴールデンタイムである入眠後の3時間に、ぐっすりと眠ることができているのです。
では、どうすれば睡眠の質を高めることができるのでしょうか?
成長ホルモンの分泌を促すためには、ぐっすりと深く眠ることが大切です。
ここでは、質の高い睡眠を取るためのポイントを解説します。
朝目覚めたら、まずはカーテンを開けて日の光を浴びましょう。
体内時計が整い、夜になると、睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されやすい状態になります。
スマホやパソコンから発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を妨げてしまいます。
寝つきにくくなる場合もあるため、就寝前には使用を控えることが望ましいです。
入浴は就寝前ではなく、1時間半~2時間前に済ましておくのがおすすめ。
入浴で体を温め、その後体温が下がっていく時に眠気が起きるといわれています。
熱いお湯は交感神経を活発にして寝つきにくくなるため、ぬるめのお湯にじっくり浸かってリラックスを。
食後、食べた物を消化しようと胃腸が働いた状態で眠るのは、睡眠の質が下がります。
夕食は就寝時間の3時間前に済ませましょう。
夜更かしが深く関わっているのは、実は成長ホルモンの分泌だけではありません。
ここでは、夜更かしをすることで、肌にどんな影響があるのかを解説します。
寝不足は「自律神経」の乱れに繋がります。
自律神経とは、体の機能を調整する仕組みのこと。いわば、体のオン・オフを切り替える働きです。
「オン」の状態を司る交感神経と、「オフ」の状態を司る副交感神経から成り立っています。
睡眠不足の状態が続くと「オン」の状態が優位になり、血管が収縮します。その結果、血流が滞る原因に。
血流が滞ると、肌に必要な酸素や栄養素が届かなくなり、乾燥やくすみなどの肌トラブルに繋がってしまうのです。
「オン」の状態では、体は興奮状態にあります。
そのまま就寝すると、リラックスできずに睡眠の質も低下してしまいます。
自律神経の乱れは、ストレスホルモンの増加にも影響を与えます。
寝不足から交感神経が優位になると、ストレスホルモンである「コルチゾール」が分泌されやすくなるのです。
コルチゾールが過剰に働くと、皮脂の分泌が促されるため、毛穴詰まりやニキビなどの肌トラブルを引き起こします。
寝不足は「メラトニン」の分泌にも影響を与えます。
メラトニンとは、体内時計や睡眠リズムを調整するためのホルモンで「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。ぐっすり眠るには欠かせないホルモンです。
また、メラトニンは高い抗酸化作用も持っており、肌のアンチエイジングにも深く関わっています。
このメラトニンの分泌が減少することで、睡眠の質が低下するだけでなく、肌の老化にも繋がってしまうのです。
肌に良い睡眠には、成長ホルモンの分泌がポイント。そのため、入眠後3時間にぐっすりと眠ることが大切であると解説しました。
そこにもう一つ「メラトニン」についても意識することで、さらに睡眠の質を高めることができます。
睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンは、自然な眠りを促す効果があり、夜間に分泌量が増える特徴があります。
メラトニンは目覚めてから14~16時間ぐらい経過すると、体内時計からの指令が出て分泌されます。
そこから徐々に分泌が高まり夜間にピークを迎え、朝が近づくにつれて分泌量が低下していくのです。
このリズムに合わせて睡眠を取ることによって、スムーズに眠りに入ることができ、質の高い睡眠を促すことができます。
【出典】体内時計と睡眠のしくみ | 体内時計を調節するホルモン、メラトニン | 体内時計.jp (tainaidokei.jp)
例えば朝6時に起きた場合、メラトニンの分泌がピークになるのは夜22時~24時頃。
この時間に合わせて眠りにつくことができれば、入眠後の3時間に質の高い睡眠を取ることにも繋がります。
夕食や入浴の時間を調節したり、寝る前にスマホの光を浴びないようにしたりすれば、肌にとって最も効果的に睡眠を取ることができるのです。
この記事では、肌と睡眠の関係について解説しました。
大切なのは、睡眠時間に関わらず、入眠後にぐっすりと眠ること。
そして、メラトニンの分泌が高まる深夜には眠りについていることです。
一日の3分の1ほどをしめる睡眠時間。寝ている時間も効果的に過ごすことで、肌荒れ知らずになれます!